研究概要 |
噴霧熱分解法では、目的生成物の構成元素からなる金属の硝酸塩、硫酸塩などを水中に溶解させ、これを噴霧し液滴化させて、キャリアガスにより加熱炉へ供給し、固体微粒子を製造する。しかし通常の噴霧熱分解法では、噴霧された液滴の大きさをよほど小さくしないとナノメートルオーダの微粒子を直接製造することは非常に困難であった。そこで、塩としてLi、Na、Kの塩化物を、金属硝酸塩、硫酸塩などを含む溶液に混合させて噴霧し、均一なナノ粒子が大量に合成できる新しい噴霧熱分解法を開発した。本研究では、塩を用いた噴霧熱分解法によるナノ粒子の合成法について、ナノ粒子のサイズおよび分布への塩の影響と製造条件の最適化、各種のナノ粒子材料(電池材料、蛍光材料、電極材料、触媒材料など)への応用および本製造のスケールアップ化、などを中心に実験的に検討を行った。 1)噴霧熱分解装置を用いて、単純酸化物系(ZnO, NiOなど)、複合酸化物系(Y_2O_3 : Eu,(Y,Gd)BO_3 : Eu)などのナノ粒子の合成実験を行った。 2)操作条件、塩の種類、プリカーサーの種類を変化させてナノ粒子を合成し、TEMおよびSEMによるサイズ、分布を観察し、XRDにより結晶性の評価を行い、分光器により蛍光特性の評価を行った。 3)製造されたナノ粒子のうち、Y_20_3 : Euの蛍光特性を評価し、特性と製造条件との相関を明らかにし、最適な条件を明らかにした。 4)製造されたナノ粒子のサイズ、結晶性、化学組成などの特性を、塩を用いない通常の噴霧熱分解法により合成された微粒子の特性と比較を行った。 5)噴霧装置として用いている超音波噴霧装置を大容量の液滴が発生できる強力な超音波噴霧装置に変えて液滴の大量発生を可能とさせた。 6)以上の検討より、本技術の新しいナノ粒子合成プロセスとしての実用化への展開を検討した。
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