原料VOPO_4・2H_2Oへのインターカレーションと剥離を我々の開発した方法で行い、原料の分子層シートがアルコール中に分散した均一溶液が合成できた。得られた剥離層溶液を還元することによって薄膜状前駆体が得られた。この際の結晶サイズおよび膜厚を混合アルコールの選択によって変えることができることが可能となった。これら剥離層の構造体を用いてn-ブタン選択酸化による無水マレイン酸生成の触媒特性を解明した。すでにこの剥離薄膜触媒はバルク(VO)_2P_2O_7の約5倍程度の空時収率を与え、また、とくに2-ブタノール-エタノールで剥離-還元を行って得られた触媒は、これまでにない84%と高い選択率を与えており、現在の工業触媒を凌いだ。このことは、この方法の有効性を証明した。その高性能の理由を得られた触媒の結晶形態およびサイズの効果から検討した。2-ブタノール-エタノール中での剥離-還元によって得た結晶はこれまでにないロッド状の微細結晶であり、かつ単一相であることが明らかとなった。
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