研究概要 |
植物PPOの微生物における異種発現系はいまだ報告例がない.これまでに本酵素遺伝子の大腸菌および酵母による異種発現系の構築を試みたがaureusidin synthase活性は検出されなかった.一般にPPOは銅を活性因子とすることが分かっており,AmAS1も原子吸光分析により銅酵素であることが確認されており,他のPPOと同様に銅を活性因子とすることが示唆される.たとえば,銅酵素であるスーパーオキンドディスムターゼ(SOD)では,SODへの銅の取り込みを促すSOD特異的なCuシャペロンの存在が明らかになっている.したがって,本酵素も,キンギョソウ花弁細胞中で,同様な機能を持つ分子の補助により活性型銅酵素となるのではないかと推定した.そこで,キンギョソウ花弁から調製したcDNAライブラリーにつき,ディファレンシャルディスプレイ法により黄色花弁に特異的に発現しているcDNAを探索した.その結果,銅シャペロンと推定されるタンパク質と相同性のあるORF遺伝子AmDDを含むcDNAが単離された.AmDDのアミノ酸配列解析により,54-110位および136-178位の2ヶ所にheavy metal associated domainの保存配列とよく一致する領域が存在することが分かった.これらを踏まえて,AmDDがCuの取り込みを補助し,AmAS1の活性化に関与するのではな禁かと推定した.次いでpESC Yeast Epitope Tagging vectorを用いて,AmAS1と銅シャペロン遺伝子と推定されたAmDDを共発現するプラスミドを構築した.AmAS1の活性化へのプロセシングの影響も考慮して,AmAS1の全長(AmAS1 full)だけでなく,N末端プロペプチドを欠失したも(AmAsS1ΔN),C末端プロペプチドを欠失したもの(AmAS1Δ),N末端およびC末肺プロペプチドを欠失したもの(AmAS1ΔNC)の4つのパターンとAmDDとを共発現させ,酵素活性を調べている.
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