前年度に続きVSVウイルス外皮タンパク(VSV-G)を用い微小核融合の改良をめざすため、まずVSV-Gの細胞融合に必要な領域を同定した所、細胞外皮ドメインに存在する2カ所の糖鎖結合領域が必須であった。一方、ヒト化TNFα抗体遺伝子をクローン化した。抗体遺伝子はH鎖及びL鎖からなり、それらが一定比率で発現する必要がある。そこで人工染色体に組込まれ核移植する前に発現比率について検討することとした。まず常法とおり、ウイルス性IRES配列によりモデル抗体のH鎖、L鎖を連結したところ、IRES上流の遺伝子が下流の遺伝子の約5倍強発現していた。そこで現在H鎖、L鎖遺伝子を別々のプロモーターで駆主力し、発現量を揃えることを試みている。さらにニワトリ導入した際人工染色体がサイレイシングを受けるのを防ぐためβ-グロビン遺伝子のインシュレータ配列をクローン化した。今後これらを組合わせ人工染色体を構築する予定である。 さらに三重ら線DNAを用い手相同組換えを効率化することをめざしてマウスグリア細胞に特異的に存在するGAP43タンパク質遺伝子をクローン化し、その5'比翻訳領域にTGの繰り返しで三重ら線構造をとり得る配列を同定した。
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