研究概要 |
生細胞と同様のストレス応答挙動を示す「リポソーム」とは、生体由来の両親媒性分子により自発的に形成される細胞様の秩序構造であり、脂質二重膜・超分子集合体である。各種生体素子(タンパク質,人工シャペロン(スマートポリマー)など)をリポソーム膜界面に複合集積することで,生体機能を模倣した従来にないバイオチップの作成の可能性が期待される。平成14年度では、主としてストレス条件下で変性したタンパク質と、脂質二重膜・超分子集合体との静的・動的な相互作用に関する定量的な知見を,水性二相系,誘電分散解析,固定化リポソームクロマトグラフィーなどで解析・評価した. (1)複合集積型マイクロバイオチップの構築・機能評価 生体シヤペロン・タンパク質などの生体素子,人工シャペロンなどの生体模倣素子を,ナノプラットホームとしての分子集合体であるリポソーム膜界面に集積化し,生体機能模倣型マイクロバイオチップを構築した。誘電分散解析により,ストレス条件下で構造変化したタンパク質と脂質膜界面との相互作用を,膜界面の動的特性変化を通じて評価できるストレスセンサの開発に成功した. (2)複合集積型マイクロバイオチップの固定化技術の確立 これまで申請者らが確立している,リポソーム固定化技術・マイクロヒータアレイ作成技術を用いて,マイクロバイオチップをマイクロプラットホーム表面に固定化する技術を確立するため、マイクロマニピュレーションシステムによるチップ作成技術の開発を行った。 次年度は,プロテオーム解析ツールとしてのマイクロバイオチップのポテンシャルを評価し,近年注目されている構造異常性疾患の原因タンパク質の詳細な検討に応用する予定である.
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