本研究では、分子ナノワイヤーの設計と構築を目指して、以下のような研究を行った。 (1)有限鎖のカーボンナノチューブにおけるキャップの効果について研究し、電子状態における顕著な効果を見いだした。 (2)発行部がペリレン、電子輸送部とホール輸送部がメタフェニレンを介したπ共役系からなる単一分子発光素子の提案を行った。 (3)単一分子からなる分子ワイヤーのコンダクタンスについてLandauerの理論に基づく計算手法を開発した。 (4)ナノグラファイトシートDNA分子、導電性高分子のコンダクタンスを計算した。フェルミ準位での透過確率の大きさを比べると分子への接続の仕方によりそのコンダクタンスが大きく変動することが分かった。 (5)拡張ベンゼンジチオールのコンダクタンスを計算し、伝導機構における分子の平面性に関する考察を行った。ポリアセンをポリフェナトレンおよび関連するπ共役系分子のコンダクタンスを解析し、ポリアセンが最も優れた分子ワイヤーであることを見いだした。 これらの結果をまとめた論文については既に発表済みである。
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