研究概要 |
本研究では、複数のエチレングリコール鎖で分子内を架橋した新規フタロシアニン化合物を創製した。即ち、異なるベンゼン環の間にトリまたはテトラエチレンクリコール鎖をもつビスフタロニトリル化合物を、DBUの存在下、CuCl叉はCoCl_2とアミルアルコール中で反応(環流30時間)させると、それぞれ対応する中心金属とクラウンエーテル環をもつ新規フタロシアニン化合物が35-70%の収率で得られた。一般に含Cu化合物は715〜750nmに、含Co化合物は700-710nmの近赤外領域にそれぞれ幅広い最大吸収波長を示した。 さらに、本研究ではプロドラツグの新規で有用な前駆置換基である(5-メチル-2-オキソ-1、3-ジオキソール-4-イル)メチル基(DMDO基)をチオール型ビタミンB_1に反応させ、種々の新規活性型ビタミンB_1誘導体を合成し、さらにそれぞれの誘導体について生体内加水分解および化学的加水分解反応を行ない、それぞれ元のビタミンB_1への迅速な変換を見出した。ビタミンB_1を水中で塩基処理して、チオール型ビタミンB_1アニオンを生成させ、これを単離せず次いで(5-メチル-2-オキソ-1、3-ジオキソール-4-イル)メチルクロリドを室温にて滴加し、目的化合物であるS-DMDOチアミン誘導体を合成した。次に合成したS-DMDOチアミン誘導体のアルコール体及びベンゾイル体を化学的加水分解し次いで塩酸/メタノールで処理すれば、元のチアミン塩酸塩がいずれも定量的に得られた。一方、ラットの血漿中での消失半減期は、0.86-1.0分であり、経口投与した時の血漿中ビタミンB_1量の変化の測定では,0.5-1.0時間の間に検出量が増加し,次第に減少している事を示している。
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