大型の反応装置、大規模な工場、大量生産というようなスタイルから机の上に構築可能なマイクロファクトリーのような生産体系へと変化すると考えられている。数百マイクロメートルの流路巾を持つマイクロリアクターを用い、数マイクロリットル/毎秒単位での物質合成を行った。この生産システムは、廃棄物をできるだけ排出せず必要量だけを効率よく生産する、高効率的生産型産業への移行、資源の再使用、環境調和型システム等々を目指したもの作りである。この反応装置の特徴として、反応熱の効率的な放出が考えられる。この反応装置を利用し異性体比が>99/<1(片方しかない)という高選択的合成反応を見いだした。反応も、数秒から数十秒という短い時間で完結し高収率で望むフッ素系オレフィン類を生産することができた。また、トリフルオロメチル基を分子内へ組み込む反応においても、触媒を効率よく利用して行うことができ、数百マイクロメートルの流路巾と数センチの反応経路内で触媒が拡散しながら効率よく働くことを確認した。 さらに、Michael付加反応やBaylis-Hillmann反応なども進行するが、収率の面で十分な値が得られておらず、現在反応条件等について検討している。 今年の成果としては、もの作りにおいて単一の生成物のみを作ることの難しさと、重要性については良く知られており、この課題点の克服の可能性をこの装置を利用して示せたことである。
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