今年度は、並列計算機上での超大規模流体計算を目指してBuilding Cube Methodと名付けた新しい計算アプローチを国際会議等で提案した。格子解像度を高めるために格子点当たりの必要メモリーを最小限にした直交格子を基本とし、かつ物体近くの微小な流れ特性長から遠方場での大きな特性長を並列計算機にて効率良く解像するために、空間を様々なサイズの正方形領域(3次元場では立方体)で覆う方法であり、近未来の大規模並列計算機での効率よい数値解析、および計算後処理を意識したものである。 このBuilding Cube Methodのための2次元の完全自動格子生成プログラム、ナビエ・ストークスソルバーを構築し、また物体壁近くでの境界条件の与え方、Cube領域間のデータの受け渡し法、並列計算機への対応アルゴリズム等を開発した。これらの方法を衝撃波と境界層の干渉問題や単独翼型および多要素翼型周りの流れの計算で試験し、ソルバーの精度と性能を確認した。かつ、大規模計算を指向した本計算法のコンセプトは大きな問題点もなく、近未来の並列計算機に非常に適していることを確認した。
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