本研究の目的は、超小型衛星や大型柔軟構造物にとって必要な推進系として、推進剤の流量制御が困難な従来の固体推進剤を用いたパルス型プラズマスラスタ(PPT)ではなく、全く新しい、流量制御を可能とするレーザー駆動による液体噴射を行うPPTを提案し、その噴射過程やプラズマ化される現象を観察して、その物理現象を調べ、比推力、効率ともに十分に持ち合わせたマイクロプラズマスラスタの実現させることにある。 これまでに試作した半導体レーザー駆動による液体噴射器を用いて、液滴の噴射される様子を、現有設備の高速ビデオカメラによって観察する。噴射器の微少オリフィスから噴出される液体推進剤(水、エタノール等)の液滴の形状や位置の時間的変化を観察した。また、レーザーの出力やオリフィス径を変えて、それらと液滴噴射量や時間的応答性の関係を調べた。 PPTの推力は振子式の推力測定スタンドの変位を測定することにより求められるのだが、本研究で用いるPPTは10W程度と小電力型であるため、得られる推力(正確に言えばインパルスビット)は非常に小さい。このため、既存の推力スタンドを改良して、本研究のマイクロスラスタに適合した高精度の測定スタンドを開発することに成功した。
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