研究課題/領域番号 |
14655371
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岸 光男 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (00145814)
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研究分担者 |
有薗 育生 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (20175988)
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キーワード | 造船オプション / 造船市場 / 制度設計 / 価格競争 / プレミアム / 実験経済学 / 市場ゲーム / 国際研究者交流 |
研究概要 |
造船市場を対象にして、『公正と信頼の原則を守りつつ、需要低迷期の価格競争を和らげ、新造船価の下支えを可能にする市場制度』を提案し、その有効性を検証することを目的として、研究を行なった。その提案の骨子として、『希望する造船所で、希望する船舶を、希望する納期で建造することを、特定の期間中に発注しうる権利』としての新造船オプションを、集中市場でオープンに取引することを考えた。それによって、価格競争力のある造船所の発行するオプションにプレミアムを市場で付加させ、そのぶんだけ船価の底上げをはかる。ただし、新造船オプションの均質化のために、新造船価は従来通り当事者間の交渉によって決められるものとする。すなわち、新造船オプション自体は、船価を規定しない。この骨子に基づき、海外の研究者2名との議論を踏まえつつ、新造船オプション取引市場の制度設計を進め、不合理の無い代替案を得ることができた. 提案市場制度の有効性の検証について、当初は、ゲーム理論やマルチエージェントによるシミュレーション等による検証法も考慮していたが、いずれにしても実際の人間による意思決定に準拠したパラメタ設定が必要となることから、生身の人間による検証として実験経済学の方法論を導入することとした.すなわち、新造船オプション市場のあるなしに応じた模擬市場ゲームを開発し、複数の人間にプレイさせ、価格推移の相違を調べた.5回の予備実験を通して、コンピュータネットワーク上でプレイできる市場ゲームを開発した.供給過剰下で加害的廉売が生じているシナオリのもと、本実験を行なった結果、(1)最悪のシナオリ下でも、オプション市場で廉売元にプレミアムがつき、下値の底上げが生じること、(2)オプション取得が売手と買手の間の信頼感醸成につながること、がわかった。
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