電磁波散乱から地中埋設物の構造を有効に検知するためのインバージョン手法の系統的な解析を行った。特にインバージョンに必要な分解能とデータ取得密度の関係、取得データにノイズが重畳する場合の処理手法について検討を行った。送受信アンテナの配置がイメージング分解能に及ぼす影響を理論的に考察した。特にアンテナの対象物に対する走査の範囲と分解能に及ぼす影響を検討した。 開発したアルゴリズムの検討のためにFDTDでシミュレーションした波形を利用し、イメージングの有効性を確認した。インバージョンにおいて、アンテナ特性をどのように組み込むかが最も重要な課題であるが、FDTDの高精度化による、アンテナ自身のフルウエーブシミュレーションを行う方法と、アンテナは微小ダイポールアンテナなど、簡単なモデル化を行ってインバージョンに組むこむ2通りの方法について検討を進めている。 一方で、花崗岩など比較的均質で低損失の媒質中では波動場を利用したマイグレーションによるイメージングが有効であることを確認し、韓国で取得したクロスホールレーダデータへの適用を行った。この結果、間隔20mのボアホールの中間に位置する空洞形状を明確にイメージングすることに成功した。この研究ではマイグレーションとトモグラフィの性質の違いについても論じた。 また韓国との共同研究を並行して行っており、データ取得法の設計について本研究で得られた知見を利用し新たにデータを取得した。本データは来年度の研究において利用する予定である。
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