研究概要 |
本研究は,炭酸ガスハイドレートの生成による冷熱貯蔵し,圧力開放によってシャーベット状の氷を瞬時に生成し,それらの冷熱利用システムを開発することを目的としたものである。炭酸ガスハイドレートの生成時および貯蔵を20気圧(約2MPa),2〜3℃のマイルドな温度圧力条件で実施し,炭酸ガスを媒体とした冷熱貯蔵サイクルを圧力容器,液化炭酸ガス,水,圧力開放弁,コンプレッサーなどの簡単な装置構成で実証できれば,産業空調分野において夜間電力による冷熱貯蔵を促進できれば,省エネルギーと温暖化防止に対し有効なシステムとなり得る。 本年度は,現在保有している炭酸ガスハイドレート生成・循環装置によって,液化炭酸ガスボンベからコンプレーサーを通じて圧力タンク内に圧入しハイドレートを生成させ,炭酸ガスハイドレート生成率をガスボンベの重量減少から算定し,ハイドレート生成速度を測定した。ただし,ハイドレート生成速度を高めると期待されているPVCAP添加の有無および添加量の効果を調べたが,PVCAPは流動系での生成に対する有効な効果はとくに認められなかった。ただし,いったんハイドレート生成領域に達した溶液は炭酸ガスの溶解速度およびハイドレート生成速度が極めて増大することが明らかになった。 以上の実験結果およびこれまでの装置構成に基づき,ハイドレート生成貯蔵用の圧力タンク,炭酸ガスコンプレッサー,開放弁の接合に関する設計・製作を実施した。さらに,ハイドレート貯蔵時における温度上昇に対して,ハイドレートの分解を防止する圧力コントロールの制御手法と炭酸ガスハイドレート利用の冷熱貯蔵システム,ヒートポンプを含めた地下岩盤内の蓄熱を利用するジオヒートポンプシステムとの複合システム構築に関する可能性調査を実施した。
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