研究概要 |
1.各種作物の栽培における剪定枝炭化材のマルチとしての利用に関する試験 インゲン、ナス、スイートコーン、トウガラシ、ダイコンを用い、剪定枝炭化材をマルチとして利用し、生育、収量、土壌環境などへの影響を調査した。以下、スイートコーンについてのみ記載する。スイート・コーン'味来390'を供試し.裸地区,黒色マルチ区(慣行区)。粒径1cm以下のナシ剪定枝炭化材を厚さ1cmに被覆した炭1cm区,2cmに被覆した炭2cm区の4処理区を設定した.播種後66日目の生育は,炭1cm,炭2cm区で慣行区と同等であった.雌穂重は慣行区に比べ,他の処理区で小さかったが,炭1cm,炭2cm区は裸地区より大きい傾向があった.雑草発生量を調査した結果、雑草抑制には,2cm程度の被覆が必要と考えられた.地温は慣行,裸地区に比べ,炭1cm,炭2cm区で変動が小さかった.交換性塩基量は炭1cm,炭2cm区で増加し,炭化材からの塩基の溶出が一因と考えられた. 2.土壌改良材としての有効性に関する試験 コマツナ'極楽天'を用い1/50aワグネルポットに3株/ポットを定植した.処理区は,培養土に混入する炭化材の粒径,比率を変えることで6処理区を設定した.生育は混入する炭化材の大きさ、比率が高いほど劣る傾向があった。土壌から流亡したNO_3-N量は,栽培前半は細かい炭化材を20%混合した区で低く,後半では炭化材混入の有無による差が小さくなった.従って,期間を通しての流亡量は細かい炭化材を20%混合した区がもっとも少なかった.流亡K量は炭化材の比率が多いほど増加する傾向があった.流亡K量の多い処理区では,収穫後土壌の交換性K_2Oも多かった. 以上の結果より,炭化材を2cm土壌被覆することによる雑草の発生を抑制する,地温の変動を少なくする,交換性塩基を増加するなどの効果が明らかとなった.また,炭化材の土壌混入には,粒径・比率によって差があるものの,交換性塩基を増加する効果に加えて,NO3-N流亡量を減少させうる可能性が示唆された.
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