一般に植物は昆虫などの小動物の加害を受けると、タンニンやフラボノイド・テルペノイドといった化学物質を加害葉に蓄積することで、あるいは放出することで加害の軽減を図ることが知られている。しかしながら、特定の種の加害によりその特定の種にだけ直接的に抵抗性を示す防御物質が誘導されることが解明された例は無い。本研究は世界中に分布し、広範囲な植物を加害するマメハモグリバエとがナス科のピーマンとの間に見られる種特異的な抵抗性起因のメカニズムならびに抵抗性因子の解明を試みた。 感受性のピーマン子葉にマメハモグリバエを24時間接種し、3日間放置した後にメタノールで抽出し、コントロールとして無処理の子葉を同様に処理したところ、処理用に明らかに増加したと考えられるピークが認められた。この物質を感受性であるピーマン子葉に塗布すると抵抗性を示したから、マメハモグリバエの接種により、マメハモグリバエ抵抗性が誘導されたものと考えられた。現在、この物質の大量分取と構造解析を試みている。
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