研究分担者 |
本 賢一 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 基礎科学特別研究員 (90333335)
大西 敦 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 基礎科学特別研究員 (50342762)
永峰 俊弘 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 先任研究員 (90237553)
鈴木 雅京 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 研究員
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研究概要 |
昆虫機能発現の分子による調節機構(カスケード)の理解に基づく新しい害虫制御・植物保護技術開発の萌芽として、ホルモンによる昆虫機能発現の分子機構の包括的解析を試みた。本年度は神経ペプチドホルモンPBANにより制御されるフェロモン産生系をモデルとし、機能発現を司る遺伝子の包括的解析とその分子メカニズムの解明に取り組んだ。まず、カイコ純系系統p50のフェロモン腺から、コピー数の少ない遺伝子を選択的に残した平均化cDNAライブラリーを作成し、ランダムに2000クローンをシークエンス、カタログ化した。次に、これらのクローンのうちacy-CoA desaturase (Desat), acyl-CoA binding protein (ACBP),acyl-CoA reductase (ACR, calinerinなどフェロモン産生に関わると考えられる機能分子遺伝子をクローニングし、構造解析するとともに、その発現解析からdesat 1,pgACBP, mgACBP, pgACRがフェロモン腺特異的かつ時期特異的(羽化1日前)に発現することを明らかにした。さらに、これら遺伝子の転写開始点を特定するとともに、プロモーター領域に転写に関わるCRE, SREなどの応答配列が存在することを明らかにした。 一方、機能発現に関わる昆虫遺伝子の機能を包括的に解析するツールとして、カイコでのジーンターゲッティング法の開発にも着手した。バキュロウイルスをターゲッティングベクターとして利用するため、カイコを宿主としないAcNPVを顕微注射法によりカイコ受精卵に接種したところ、このウイルスは効率よくカイコ胚子に感染したものの、予想に反して正常な胚発生に多大な障害を与えることがわかり、何らかの改善が必要と判断された。
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