研究概要 |
根圏から新に分離した6菌株の寒天分解細菌が持つ寒天分解酵素(アガラーゼ)に関する情報を得るために,酵素活性及び活性染色による分子量の推定を行った.アガラーゼは,agaroseを0.1%添加した基本液体培地(Basal Medium)またはTYM液体培地で各菌株を5〜7日間振量培養し,菌体を除いた培養上清からammonium sulfateでタンパクを沈殿させることによって抽出した,各菌株の粗抽出アガラーゼの酵素活性は,生成する還元糖の定量によって測定した.また,活性染色を用いたSDS-PAGEにより各アガラーゼの分子量を推定した. 各菌株のアガラーゼ活性(units mg^<-1> protein)はM-2b, O-3b, O-4c, St-4, SA-7及びRB5-Bでそれぞれ,1.06±0.03,0.73±0.02,1.10±0.02,0.51±0.03,2.06±0.02及び0.97±0.02であり,同様の操作で抽出したP.altanica JCM8845(1.03±0.01)と同程度であった.M-2b, O-3b, O-4c及びSt-4は複数のアガラーゼ活性を有するバンドを示し,推定される分子量は各々,75〜160kDaであった.また,SA-7及びRB5-Bではいずれも単独のバンド約70kDaが認められた. 以上の結果から,M-2b, O-3b, O-4c, St-4, SA-7は複数の菌体外アガラーゼを産生することが明らかとなり,RB5-Bは菌体内あるいは菌体表層にアガラーゼを有することが示唆された.そのアガラーゼは複数または単独で活性を示し,推定されるアガラーゼの分子量は70〜160kDaであった.
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