1.Coptotermes formosanus兵隊カースト額腺分泌物中の水溶性成分の解析 Coptotermes formosanusの兵隊カーストの頭部を刺激して得られた分泌液をFolch分配で水溶性画分と脂溶性画分とに分離した。Folch分配で得られた水溶性画分は、さらにSDS-PAGEで分析し、24KDaと10KDaの分子量を持つタンパク質の存在を見い出した。これらのタンパク質を電気泳動で単離し、このうち24KDaのタンパク質についてのN-末端配列の解析を行い、それがAPK(C)DVGKTVSと決定できた。このN-末端配列は、既知のタンパク質との相同性が、ほとんど見られないことから、新規なタンパク質であると考えられる。また、このタンパク質が、兵隊カースト特異的な成分であるかどうかを調べるため、Coptotermes formosanusの労働カーストならびに兵隊カースト虫体から同様の方法でタンパク成分の抽出を行い、電気泳動での解析を行った。その結果、労働カーストと兵隊カーストでのタンパク質組成には、大きな差異が認められ、額腺分泌液中に存在している二種のタンパク質は、いずれも兵隊カースト特有のタンパク質であった。さらに、これらの事は、成育地域の異なるコロニー間での顕著な差は認めらなかったことから、これらのタンパク質は兵隊カーストに特異的なタンパク質であると考えられ、現在、両タンパク質の全アミノ酸配列について解析中である。
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