研究課題/領域番号 |
14656056
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 正 京都大学, 農学研究科, 教授 (80027193)
|
研究分担者 |
高橋 浩司 (独)農業研究機構, 作物研究所, 研究員
森山 達哉 京都大学, 農学研究科, 助手 (60239704)
|
キーワード | 感染特異的タンパク質 / 食物アレルギー / アレルゲン / エリシター / 植物性食品素材 / 二十日大根 |
研究概要 |
食物アレルギー患者の感作食品及びその食品素材中のアレルゲンに関する過去の研究結果から、アレルゲンの多くが、植物に特有の、感染特異的タンパク質(あるいは防御タンパク質)と呼ばれるグループに属するものであることが明らかになりつつある。この事実を踏まえて、特に植物性食品素材のアレルゲン性が、植物に与えられたストレスに依存して変化する可能性を実証することを目的とした。 今年度の実験経過及び研究成果は以下の通りである。 (1)材料として栽培が容易な二十日大根を用いた。 (2)温室における栽培過程で、植物病原菌の感染に伴って産生されるエリシター様物質であるサリチル酸をストレス物質として、感染特異的タンパク質の産生を誘導した。 (3)患者血清を用いるイムノブロット法にて患者IgE抗体の認識するアレルゲンタンパク質成分をスクリーニングした。 (4)アレルゲンとして、20kDaタンパク質及び37kDaタンパク質が特定された。これらは、N-末端アミノ酸配列の解析から、25kDaタンパク質をglutahtione S-transferase,37kDaタンパク質ferredoxin/NADH oxidoreductaseと同定した。 (5)上記のアレルゲン成分(患者に対してIgE抗体の産生を誘導した)は、植物体に対するエリシターの処理(葉面散布)で産生誘導され、増加する。 (6)この結果、ELISA法によるアレルゲン性の強さは、ストレス依存的に増強される結果を与えた。 (7)従って、ストレス負荷が、植物性食品素材に対して感染特異的タンパク質の産生を誘導し、その中のアレルゲン成分の増加がアレルゲン性の増加に直接つながる事実を立証した。
|