研究課題/領域番号 |
14656074
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
綿貫 豊 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40192819)
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研究分担者 |
和田 昭彦 北海道立稚内水産試験場, 研究員
斎藤 誠一 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (70250503)
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キーワード | データロガー / 海洋生態系 / 高次捕食者 / 索餌行動 |
研究概要 |
水深温度記録によるウトウの採食範囲の推定と既存の加速度記録計によるハシブトウミガラスの潜水行動記録の解析をおこなった。北海道天売島のウトウに水圧温度記録データロガーを装着しその潜水行動と同時に鉛直水温プロファイルを測定し、北海道水産試験場の調査船によって周辺海域の海洋観測を実施した。両者の水温プロファイルの一致からウトウの採食場所を推定したところ、多くは天売島の北から利尻島の間の沿岸部で採食するが、大きな個体変異も認められた。この方法で個体の採食場所をおおまかに解析することが可能であると判断された。ノルウェーでハシブトウミガラスの羽ばたきを2軸加速度記録ロガーで記録したところ、ほぼ垂直に1.6-1.8m/sの速度を維持しつつ沈降し、数十メートルの深度で水平遊泳し、その後70度の角度で浮上するが、20mほどで羽ばたきを停止するにもかかわらず、急速に大きくなる浮力によって加速し水面近くで速度は2.2m/sに達した。浮力が大きい沈降しはじめは毎秒3-4回推進したが、深くなるにつれ小さくなり、浮力がなくなる深度では毎秒2回しか推進しなかった。一方。羽ばたき頻度は沈降中も底滞在中も毎秒2回程度で変化しなかった。加速度を詳しく見ると、沈降初期には翼のうち下ろしうち下げそれぞれで1回推進加速したが、深い深度ではうち下げでしか推力を発生していないことがわかった。深度によって変化する浮力に対してこのように巧妙な方法で、羽はたきを調節して抵抗係数を最小にする最適速度に近づけようとしていた。
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