研究課題/領域番号 |
14656076
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
坂本 崇 東京水産大学, 水産学部, 助手 (40313390)
羽曽部 正豪 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10218464)
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キーワード | 生殖細胞 / 移植 / 借り腹 / トランスジェニック / GFP / ニジマス / ペヘレイ / 不妊魚 |
研究概要 |
生殖細胞移植では、ホストの生殖腺にドナーの生殖細胞を移植し、ホストは代理父または代理母として配偶子を形成する。この技術は、例えば、マグロのように従来飼育が困難な種類、または繁殖が不可能な種類の種苗生産を、容易に飼育できる種類を介して実現する方法として考えられる。また、優れた形質を持つ個体の大量生産や系統保存・復活など、育種の手法としても多様な応用が期待できる。本研究は、魚類の生殖細胞の可能性を検討し、実用的移植技術を考案する目的とする。本年度では、基本的な技術開発、同種個体間での移植の試み、ならびにホストとして生殖細胞を持たない個体の作出を行った。まず、ホストと生殖細胞のドナーとしてそれぞれ通常のニジマス(Oncorhynchus mykiss)とGFP蛍光タンパク質トランスジェニックニジマスを用い、麻酔下で行った開腹手術によってホスト生殖腺へドナー生殖細胞を含む生殖腺の細胞塊をマイクロインジェクションした。移植後1〜12週間にホストの生殖腺を摘出し、組織学および免疫組織学手法により移植細胞を観察した結果、12週間までホストの生殖腺内でドナーの細胞が生存可能であることが分かった。一方、生殖細胞を持たない不妊魚のホストの作出については、高温処理によって作出を試みた。本課題では、ペヘレイの若年魚を供試魚として生殖細胞が消失するとされている29℃で飼育したところ、飼育開始3ヶ月後に生殖細胞を消失した個体の存在が確認できた。今後は不妊化した個体の生殖腺に同種および近縁種のパタゴニアペヘレイの生殖細胞を移植し、高温処理によって不妊化した生殖腺は配偶子形成能力を維持しているかどうかを調べる予定である。
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