研究概要 |
1.上記3実験の結果を基本に摂餌量-安定同位体比の変化速度の数学モデル開発 δ_t=δ_f+(δ_i-δ_f)×Gw^<-C> : Gw={(δ_t-δ_f)/(δ_i-δ_f)}^C δ_iは放流時のヒラメ筋肉のδ^<13>Cおよびδ^<15>Nで,δ_fはδ^<13>Cおよびδ^<15>Nの収束値である。δ_tは採集時のδ^<13>Cおよびδ^<15>Nを示す。cはδ^<13>Cおよびδ^<15>Nの変化速度を示す。安定同位体比を用いた累積摂餌率(F)の推定は上記の関係式に本実験で得られた累積摂餌率と成長率の関係式を代入して得られた以下の式を用いて推定した。 exp(1.95×F)={(δ_t-δ_f)/(δ_i-δ_f)}^C : F=[1n{(δ_t-δ_f)/(δ_i-δ_f)}^C]×0.51 2.数学モデルの野外への応用 平成16年度に放流前に同一の配合餌料で飼育し安定同位対比を一定にした、ヒラメ人工種苗を和田浜に放流し、上記の数学モデルに、本研究で得られたC=1、天然ヒラメ稚魚の安定同位対比を収束値として放流後の成長率を計算したところ、耳石日周輪解析から得られた結果とよく一致した。以上の結果から個体別に放流後のヒラメ人工種苗の体重ベースでの成長率を個体レベルで推定することが可能であると考えられた 3.和田浜における安定同位対比のデータベースの作成 和田浜のPOM,藻類、小型甲殻類、魚類のδ^<13>Cおよびδ^<15>Nを調べてデータベース化した。CNマップにこれらの結果を図示すると、主にアミ類、端脚類を経て魚類に至るという炭素、窒素の流れがあり、その流れは変わらないことが示された。しかしPOMのδ^<13>Cは魚類やその餌となるアミ類、端脚類のδ^<13>Cの値から大きく隔たっていたが藻類のδ^<13>Cがアミ類、端脚類のδ^<13>Cと重複していた。今後底性珪藻など付着藻類も調べる必要がある。
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