研究概要 |
1)微細藻の他生物増殖抑制物質の検索 他種間の作用物質の検索する目的で、赤潮形成珪藻8種の培養藻体抽出物及び培養濾液について培養藻及びアルテミアに対する影響を調査した。多くの種が活性を示したが、特にRhizoxoleniasetigeraがラフィド藻Chattonella antiqua及び珪藻Skeltonema costatumに対して高い活性を示した。また、珪藻Pseudo-nitzschia pungensがアルテミアに対する経口毒性を示した。 2)R.setigeraの溶藻成分の構造解析 80LのR.setigera培養藻体からC antiqua溶藻活性を指標に逆相分配系のカラムクロマトグラフィーで精製を行い、7〜10ppmで活性を示す4成分を単離した。NMR,Msの解析から、いずれも遊離脂肪酸のDHA,EPA,(6Z,9Z,12Z)-hexadecatrienoic acid, palmitoleic acidと判明した。含量と活性から推定して天然で問題を起こすとは考えにくいが、類縁脂肪酸について調べたところ1/10以下の活性しか示さず、今回単離された脂肪酸が顕著に強い活性を示すという興味有る結果が得られた。 3)渦鞭毛藻Alexandriumu catenella培養液中の珪藻増殖抑制物質の追求 珪藻S.costatumに対する増殖抑制を短時間で測定するシステムを開発し、A.catenellaの培養路液が有為に珪藻の増殖を抑制することを発見した。多数の化学物質が関与することが推定され、その内、脂溶性の1成分を単離した。現在、機器分析により構造を解析中である。
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