研究概要 |
農業経済学におけるGISの活用実態について明らかにした。日本におけるGISを利用した農業経営研究・経済学研究は皆無に等しい。(1)農業経営学の立場から、農家の土地利用ないしは輪作パターンを分析した研究、(2)1990年代に入ってからGISが導入されはじめ、農業地理学の立場から農業的土地利用の分析が大半を占める。欧米では農業経済学関係においてGIS利用が盛んであり、Agricultural Economics Vol.27 No.3 (2002)では"Spatial Analysis for Agricultural Economists ; Concepts, Topics, Tools and Examples"と題してGISの特集が組まれている。日本と同様に欧米でも、農地利用の分析が盛んであり、新しく開発された空間計量経済学的手法が適用されている。空間計量経済学に関する理論的研究も盛んである。その他に、精密農業に関する研究、デフォーレステーションの要因分析、農民が置かれている地理的特性と技術普及の関係、などが分析されている。いずれも、GISを利用して空間データを構築していることが大きな特徴であり、最大の意義がある。特に近年人工衛星のデータを活用している点は注目される。本研究においても、農家の記帳した農地利用図がどの程度正確であるかを検証した。そのために、農家が記帳した土地利用図と実際の計測に基づいて作成した農地利用図とを比較した。その結果、農地が記帳している農地利用図はほぼ正確であり、農家の土地利用図をそのままGISに導入可能であることがあきらかになった。
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