研究概要 |
1.生息場調査 (1)青森県津軽平野の岩木川左岸地区農業水利施設である用水路,排水路,承水路および河川において春期から秋期にかけ,魚類を中心とした生息場調査を行った.また,実験圃場において,水田生物のすみ場選択,日周移動,季節的移動に関して調査し,生活史を全うする上でどのような環境をどのような生活史ステージにおいて必要としているか明らかにした.また,水田造成後の生物の経年的定着様式に関し,新しい知見を得た. 2)ゴイサギ,ヨシゴイ,カイツブリ,オオセッカなどの鳥類を対象に採餌場所,繁殖に関わる生息環境に関する調査を行った.ゴイサギでは水田と河川を餌利用可能度の視点から,カイツブリ,ヨシゴイではため池内の無生物的環境要素と魚類組成および動物行動学的視点から,オオセッカでは河川敷,休耕田における葦原の人為的管理による微細空間構造と営巣場所選択の視点から調査・解析した. 2.生息場評価 (1)河川及び農業水利施設の魚類生息密度と環境要素を調査し,正常流量増分法(IFIM)による評価を行った.これにより,物理化学的環境から魚類生息場ポテンシャルの評価が可能であることが示された.また,主成分分析等で検討した結果,特に幹線排水路・承水路と,小規模ため池下流の用排兼用水路などで区分可能な特徴的な魚類組成が検出された. (2)フクロウの採餌場所,繁殖場所としての果樹園およびその周辺の二次林との構造に関して地理的情報を用い解析した.また餌場や営巣木などのマイクロハビタット的な要素との関連性を検討した.また果樹園の歴史性に関しても,生息との重要な関連が見いだされた.
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