食肉となる筋組織にはほとんど存在せず脳脊髄組織に特異的で量的にも豊富なグリア繊維性細胞酸性タンパク質を指標として、食肉および食肉加上品に混在する脳組織を検出するためのELISA法において湿重量比で0.01%まで検出可能なことを明らかにした。この方法を用いて牛および豚の市販枝肉やブロック肉表面における脳脊髄組織の存否を調査すると、枝肉のネック部分には頻度は低いものの陽性反応を示すものが認められ、これは枝肉の洗浄が不十分であることによると推定された。一方、豚肉、牛肉および鹿肉ともに食肉および豚加工製品には全く陽性反応は認められなかった(口演、日本畜産学会、2002)そこで、牛肉、豚肉およびその脂肪面に脳組織を塗布し、いくつかの洗浄液を用いて中枢神経組織の除去方法を検討した。その結果、乳酸をはじめとする有機酸が温湯、アルカリ水、中性洗剤等よりも高い除去効果を示すことが明らかとなった(口演、帯広畜産大学BSE対策シンポジウム、2003)。食肉に脳組織を混合し冷蔵するとグリア繊維性細胞酸性タンパク質が食肉の熟成に伴い分解されることが電気泳動像から明らかとなった。そこで、効率的な新規指標タンパク質の検索を行うと二次元電気泳動で有望なスポットが数個見出された。脊髄の背根神経質付近の筋を用いてPrPc抗体による免疫染色を行うと、神経節を含めて筋全体に弱い反応が認められるだけであった。
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