研究概要 |
ノットグラス(Paspalum disticum L.)は湛水状態で生育する飼料作物であり、本作物を水田へ導入すれば、水田の有する化学的浄化能力と貯水ダムとしての機能を生かした状態で粗飼料生産が可能となる。さらに、吸肥能力の高い飼料作物が栽培できれば、高窒素循環・環境保全型粗飼料生産システムの構築が可能となる.本研究ではノットグラスの利用特性について、調査した.その結果、ノットグラスは比較的容易に水田で増殖できること,窒素に対する依存性が高いこと,生育の衰える秋期に窒素を多用すると茎に硝酸集積を起こし、家畜の健康に問題を引き起こす危険があるが、この時期に水田が乾田状態であったことも硝酸集積に影響していると考えられ、再検討の余地がある。また,硝酸は主として茎に集積し,葉にはほとんど集積しないことも明らかとなった.メタン発酵プラントから発生する消化液を施用したポットからは、メタンがほとんど発生しなかった. ノットグラスの発酵品質及び乳牛に対する採食性の調査したところ、発酵品質については、県内で生産された牧草類と比較して有機酸割合が高い傾向にあるものの、アンモニア態窒素割合は低く、品質に遜色はないと思われた。また、硝酸態窒素をまったく含有していないのが特徴的であった。また、採食性については、ローズグラス乾草と同等以上の採食性があったことから、特に問題もなく、一般的な粗飼料として利用できると判断された。
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