研究代表者は最近ウズラの卵巣の最大卵胞に時計が存在することを明らかにし、最大卵胞に鳥類の排卵のタイミングを決定する"排卵時計"が存在するという新たなモデルを提唱した。つまり、最大卵胞に存在する排卵時計が、プロジェステロンのサージ状分泌を引き起こし、このサージがLHのサージ及び排卵を引き起こすというものである。 そこで本研究ではまず、プロジェステロンのサージ状の合成を排卵時計がどのように制御するかを明らかにすることを目的として、卵胞においてコレステロールの取り込みからプロジェステロン合成までの過程に関わる全ての遺伝子の発現解析を行ない、プロジェステロンの大量合成、放出の律速段階となっている遺伝子を明らかにした。その後このプロジェステロン合成律速遺伝子の発現制御を時計遺伝子がどのように制御しているかを明らかにすることを目的として、プロジェステロン合成律速遺伝子のプロモーターの配列を解析している。 さて、家禽の排卵・放卵のリズムは概日時計と排卵時計のカップリングによって制御されていると考えている。そこでカップリングを制御する因子の一つと考えられるメラトニンの慢性投与の放卵リズムへおよぼす影響を検討した。その結果、メラトニン慢性投与は放卵リズムへほとんど影響をあたえず、カップリングには関与していないことが示唆された。
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