インヒビンレセプターの同定とシグナル伝達に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14656117
• 研究機関: 北里大学
• 研究代表者: 長谷川 喜久 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40092001)
• 研究分担者: 星 信彦 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (10209223)
• キーワード: インヒビン / アクチビン / 結合蛋白質 / FSH / 卵胞 / 下垂本

研究概要

TGF-β関連物質は多くの結合蛋白質を有し、リガンドの生物活性を調節するばかりでなく、発生過程の細胞の分化・増殖に密接に関与している。一方、インヒビンファミリーでフォリスタチン以外の新しいインヒビン結合蛋白質の精製を試み、43kDaの結合蛋白質の精製に成功した。
精製した43kDa結合蛋白質は、糖鎖切断処理の結果、43kDa結合蛋白質が糖鎖をもつことと、酵素に対する感受性がフォリスタチンよりも高いことがわかった。さらに43kDa結合蛋白質はインヒビンだけでなくアクチビンとも結合することがわかり、インヒビン・アクチビン結合蛋白質であることが明らかになった.次に精製した43kDa蛋白質の生物活性に付いて検討した。
まず、アクチビンによりヘモグロビン産生が誘導される赤芽球系の腫癌細胞K562を用いて新しいアクチビンのバイオアッセイ法を確立した100ng/ml以上の43kDa蛋白質は用量反応的にアクチビン活性を抑制し、抑制の強さには、アクチビンの分子種による違いは認められなかった。フォリスタチンは、10ng/mlで明かにアクチビンの生物活性を抑制し、アクチビンの分子種の生物活性に対する抑制の強さに差が見られた。
培養下垂体細胞からのアクチビンのFSH合成分泌促進作用に対し、43kDa蛋白質は10ng/mlから用量反応的にFSH分泌量を減少させた.培養頼粒層細胞に対し、10および30ng/mlの43K Proteinを添加すると、アクチビン単独時よりもプロジエステロンの分泌量が増加した。培養下垂体あるいは頼粒層細胞への43K proteinの単独添加により、FSHやプロジエステロンの分泌量に変化が見られた。

研究成果

• [文献書誌] Imai K, Khandoker MAMY, Yonai M, Takahashi T, Sato T, Ito A, Hasegawa Y, Hashizume H: "Matrix metalloproteinases-2 and -9 activities in bovine follicular fluid of different-sized follicles : relationship to intra-follicular inhibin and steroid concentrations."Domes Ani Endocrinol. 24. 171-183 (2003)
• [文献書誌] Sugino T, Yamaura J, Yamagishi M, Kurose Y, Kqjima M, Kinugawa K, Hasegawa Y, Terashima Y: "Involvement of chorinergic neurons in the regulation ghrerin secretory responce to feeding in sheep."Biochem Biophys Res Commun. 304. 308-312 (2003)
• [文献書誌] Kaneko H, Noguchi J, Kikuchi K, Hasegawa Y: "Molecular weight forms of inhibin A and inhibin B in the bovine testis change with age."Biol Reprod : 1918-1925.. 68. 1918-1925 (2003)
• [文献書誌] Saito D, Hasegawa Y, Urano A: "Gonadotropin-releasing hormones modulate electrical activity of vasotocin and isotocin neurons in the brain of rainbow trout."Neuosci Lett. 351. 107-110 (2003)
• [文献書誌] Wada W, Kuwano H, Hasegawa Y, Kojima I: "The dependence of TGF-b-induced collagen production on autocrine factor activin A in Hepatic Stellate cells."American J of Physiol. in press. (2004)