研究課題/領域番号 |
14656121
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 伸雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
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研究分担者 |
松木 直章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40251417)
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
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キーワード | 補体 / 豚膵島細胞 / 超急性拒絶反応 / Galα(1-3)Gal / 異種移植 / 糖尿病犬 / 免疫組織化学検査 / 補体レセプターインヒビター(sCRI) |
研究概要 |
本研究の目的は、糖尿病犬に対する膵島異種移植をできるだけ少ない免疫抑制下で実施することにある。特にMcKenzieらが膵島細胞には超急性拒絶反応に関与すると考えられている糖鎖、Galα(1-3)Galが存在しないことを報告し、また我々も予備試験で犬の腹水中で豚膵島が生存する例のあったことから、以下の実験を行った。 第一に、犬、豚を含むいくつかの動物種の血清を採取し、豚膵島細胞の培養液にこれらを加えたときの補体介在性細胞障害を検討した。その結果、予想とは異なり、豚以外の血清はすべて豚膵島細胞を障害した。次に、補体レセプターインヒビター(sCRI)をこれらの培養液に加えて、その時の細胞障害性について検討した結果、細胞障害作用はいずれも低下したことから、血清による細胞障害には、補体が関与することが認められた。次に、豚膵島を長期間培養し、その時のGalα(1-3)Galを含むいくつかの抗原の推移を検討した。その結果、我々が使用した培養豚膵島細胞には、約30%にGalα(1-3)Galが発現し、長期培養によってその発現は低下するものの、なくなることはなかった。しかし、免疫組織化学検査では、成熟した膵島細胞にこの糖鎖は発現しておらず、この理由は今後検討する必要があると考えられた。同じ研究で、細胞性免疫に関与するMHC, ICAM-1等は長期培養によってその発現量が低下するものの、拒絶反応に大きな役割を担っているものと考えられた。従って、膵島細胞の抗原性の低下には、さらに多くの研究が必要であると考えられた。
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