研究課題/領域番号 |
14656123
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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研究分担者 |
伊藤 直人 岐阜大学, 農学部, 助手 (20334922)
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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キーワード | リバースジェネテックス法 / 狂犬病ウイルス / 糖蛋白 / 神経伝達物質 / ヌクレオ蛋白 / 致死的感染 |
研究概要 |
神経病原性ウイルスの神経組織内への侵入と移動には、レセプターや軸索流などの宿主側の要因とウイルス外殻蛋白が係わっている。しかし、ウイルス外殻蛋白のどのような分子が係わっているかは、ほとんど明らかにされていない。そこで、ウイルス自身が神経伝達物質を持ち、それが大きな役割をしているか否かを、既に確立したリバースジェネテックスの手法を用いて、マウスに致死的感染を起こし神経親和性の強い強毒型の西ヶ原株糖(G)蛋白の神経病原性に関与することが推測されている種々のアミノ酸領域をそれぞれコードする遺伝子と、他は全てマウスに非致死的な弱毒型のRC-HL株遺伝子を持った各種キメラウイルスを作出し、マウスに致死的感染を惹起するアミノ酸領域の特定を行った。 その結果、G蛋白の242位のアラニン,255位のアスパラギン酸および268位のイソロイシンの3つのアミノ酸が、西ヶ原株の成熟マウスに対する致死性に重要な役割を担っていることを直接的に明らかにすることが出来た。これらのアミノ酸はこれまで病原性に関連することが全く報告されていない部位で、狂犬病の神経病原性に関する全く新たな機構を提案する証拠と言える。今後、このアミノ酸領域を発現させ、その発現蛋白の神経伝達物質としての性状を電気生理および機能形態学的に検討する予定である。 一方・西ヶ原株からRC-HL株への弱毒には、G蛋白単独ではなく、ヌクレオ蛋白との共同作用の必要なことも確認した。この点も全くの新知見であり、次世代型ウクチン開発の上で重要な所見と言える。
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