研究概要 |
減数分裂の際にみられる相同染色体の対合は、相同組み換えに至る基本過程であるが、その分子メカニズムの詳細は明らかとなっていない。特に動物細胞では、減数分裂を観察するよいin vitroの系の立ち上げが難しく、そのため、動物での染色体対合の分子機構については、酵母の結果よりその仕組みを推測することが多かった。我々がTBPIPをクローニングした後、TBPIPの酵母ホモログが減数分裂特異的分子Hop2(Cell 94 : 375-386, 1998)、Meu13p (EMBO J 20 : 3871-3881, 2001)としてクローニングされた。これら分子は減数分裂の際に染色体に結合し、相同組み換えより以前の段階、すなわち相同染色体の対合そのものに関わる働きを有することが報告されている。この結果をTBPIPに当てはめると、TBPIPはヒト・マウスでの減数分裂の際の相同染色体の対合をコントロールする分子である可能性が示唆された。本研究では、TBPIPが果たして動物において相同染色体の対合をコントロールする分子であるか否かを検討し、加えてTBPIPを取り巻く分子を検索し、その分子マシーナリーを明らかにすることを目指し、その結果、従来不明であった動物での相同染色体対合の分子的基盤を明らかにすることを目指し実験に取り組んだ。 平成15年度は、TBPIPが相同組み換えにかかる酵素の活性(特に相同染色体の対合)をあげることを理化学研究所横山グループと共同で得た(投稿中)。更に、TBPIPの核内への移行について研究を進め、核内移行に関わる部位を同定した。
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