研究課題/領域番号 |
14657016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 教授 (50127213)
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研究分担者 |
細野 剛良 大阪大学, 医学研究科, 助手 (60294104)
大野 ゆう子 大阪大学, 医学部, 教授 (60183026)
永島 計 大阪大学, 医学部, 助手 (40275194)
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キーワード | 冷え性 / 体温調節 / ヒト / 皮膚血管 |
研究概要 |
「冷え症」は一般に良く使われているが、その病態はほとんど研究されていない.これまで行われているのは主として漢方医学の方面からのアプローチで、そこでは「末梢血管運動障害」と捉えられることが多い.皮膚血管は体温調節のための熱放散に重要な効果器であり、高体温時には拡張する.そこで、もし「冷え症」が単なる末梢皮膚血管運動障害だとすると、手足の冷えを感ずるときには血管が収縮しており、当然熱放散反応は抑制される.そこで正常な人に比べて体温上昇を招くことになる.しかし、冷え症を訴える人が、体温が高いという報告はない.このことは冷え症が単なる末梢皮膚血管運動障害ではないことを示唆する.ここで我々は一般に考えられているのとは全く異なる仮説を提案する.つまり冷え症は末梢皮膚血管運動障害ではなく、代謝異常ではないかということである.代謝が低ければ、体温を維持するには熱放散を押さえねばならず、当然皮膚血管は収縮傾向になると考えられる.この仮説を検討するために、本研究では冷え症と考えている女性を中程度の寒冷に曝露し、代謝、体温を測定した.先ず、アンケートを行い、1.環境温変化に敏感ですか?2.寒冷に曝されたときに他の人たちより寒さを感ずるようですか?など10の質問で7つ以上に該当する人を冷え症群と定義し、3つ以下の人をコントロール群とした.半袖、短パンで29℃から23℃に環境温を低下させた時の体温、皮膚温、代謝を測定した.その結果、体温、皮膚温には両群で有意な差は認められなかったが、代謝は冷え症群で有意に低下していた.この結果は我々の仮説を支持するものである.来年度はさらにホルモンの測定、温熱感覚の解析などを行うよていである.
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