研究分担者 |
山本 茂 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70093896)
湊 義博 徳島大学, 保健管理センター, 教授 (00035768)
前田 健一 徳島大学, 保健管理センター, 助教授 (30238860)
加藤 亮 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (30380025)
大和 正幸 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (90210492)
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研究概要 |
先進国で食品に由来するアレルギー疾患が増加し、原因として環境を含めた栄養摂取の変化がある。本研究は、タンパク量(5、7,20,40%)、ビタミンA、ビタミンE及び環境ホルモンの一種であるビスフェノールA(BPA)がアレルギー発症に関与する経口免疫寛容の成立に与える影響を調べることを目的とした。方法として、食品抗原(OVA)の事前経口投与による免疫寛容に対する効果を確立した動物の実験系で調べた。OVAを連続4日間経口投与した後にOVAで免疫し、体重、血清中の各種抗体量、リンパ球から産生されるインターロイキン(IFN-γ,IL-4, IL-12)を定量した。 その結果、40%マウスで体重が20%マウスより有意に大きく、5%マウスは、20%より有意に小さかったが、7%蛋白では体重への変化は少なかった。ビタミンA(100mg)及びE(250,000IU)の投与では、対照と比較して変化がなかった。また、BSA(0.1mg)でも体重への影響はなかった。全IgE抗体は事前の経口投与群において高タンパク食(40%)動物で有意に増加していたが、低蛋白食(5%)では有意に低下していた。ビタミンA投与群では、OVA特異的IgEが有意に増加していたが、ビタミンE投与では変化がなかった。IgG2aはビタミンE投与群で有意に低下し、IgG, IgG1量に変化はなかった。また、BPA投与により、OVAの前投与にかかわらず全IgE産生が抑制され、OVAの事前投与による経口寛容がBSA投与により抑制されていた。インターロイキンの産生については、低蛋白食ではIL-4量は低下し、高蛋白食はIL-4を増加させた。これに対してIFN-γはほぼ逆の傾向を示した。さらにBPAの投与によりIFN-γとIL-12産生が増加していたが、IL-4には変化が見られなかった。 以上の結果から、高蛋白とBPAはTh2リンパ球の優性を生じて経口寛容を抑制し、ビタミンAおよびEの大量投与はこの免疫環境を改善しなかったので、高タンパク食と環境ホルモンの一種であるビスフェノールAは食品抗原に対するアレルギー状態を助長すると考えられた。
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