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2002 年度 実績報告書

睡眠時無呼吸に対する防御機構としての低酸素応答の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 14657028
研究機関東北大学

研究代表者

柴原 茂樹  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70206142)

研究分担者 武田 和久  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30311559)
飛田 渉  東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10142944)
高橋 和広  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80241628)
キーワード低酸素 / 換気応答 / 睡眠 / 転写因子 / Bach1 / MITF / ヘムオキシゲナーゼ / ビリルビン
研究概要

睡眠時無呼吸症候群の治療法の開発を目的に研究を実施し、低酸素によるヒトヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)遺伝子の転写抑制機構を解明した。HO-1はヘム分解系の律速酵素であり、ヘムを酸化的に開裂して一酸化炭素(CO)、ビリベルジン(最終的にはビリルビン)、鉄を生成する。一般に、ヒト細胞が低酸素環境に曝露されると、血管新生や解糖などに関与する一群の遺伝子の転写が促進される。その際、低酸素誘導性の転写活性化因子であるhypoxia-inducible factor 1が中心的な役割を演じる。しかし、どのような代謝系であってもバランスが重要であり、低酸素誘導性の転写抑制因子の存在も合目的と考えられる。我々は、転写抑制因子Bach1が低酸素により誘導されることを世界に先駆けて発見した。従って、低酸素下におけるヒト細胞特異的なHO-1の発現低下は、Bach1の作用によると考えられる。さらに、Bach1の発現はHO-1の発現を低下させる鉄キレート剤やインターフェロン-γによっても誘導され、逆にHO-1の誘導剤である塩化コバルトによってBach1の発現は低下する。Bach1は細胞内の代謝センサーとして機能することが示唆される。一方、ラット、ウシ、サル由来の細胞では、低酸素によりHO-1の発現は誘導される。すなわち、低酸素応答における種差の存在が明らかになった。このような種差はヒト特異的な生体防御機構を反映すると推定される。
低酸素応答に関与する小眼球症関連転写因子(MITF)は、神経堤由来のメラノサイトと網膜色素上皮細胞の分化制御因子である。MITFがWntシグナル伝達系の転写因子LEF-1と協調的に作用してメラノブラストマーカー遺伝子を活性化することを発見した。よって、MITFはWntシグナル伝達系の構成因子でもある。さらに、転写因子OTX2が網膜色素上皮細胞の機能維持に関与することを示唆した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Saito H. et al.: "Microphthalmia-associated transcription factor in the Wnt signaling pathway"Pigment Cell Research. 16(印刷中). (2003)

  • [文献書誌] Kitamuro T. et al.: "Bach1 functions as a hypoxia-inducible repressor for the heme oxygenase-1 gene in human cells"J. Biol. Chem.. 278. 9125 (2003)

  • [文献書誌] Takeda K. et al.: "OTX2 regulates expression of DOPAchrome tautomerase in human retinal pigment epithelium"Biochem. Biophys. Res. Common.. 300. 908 (2003)

  • [文献書誌] Saito H. et al.: "Melanocyte-specific microphthalmia-associated transcription factor isoform activates its own gene promoter through physical interaction with lymphoid-enhancing factor 1"J. Biol. Chem.. 277. 28787 (2002)

  • [文献書誌] Sassa S, Shibahara S.(R.I.Handin, S.E.Lux, T.P.Stossel, eds): "Blood : Principles and Practice of Hematology (2^<nd>Ed) (Chapter 47 : Disorders of heme production and catabolismを分担執筆)"Lippincott Williams & Wilkins. 2304 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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