研究概要 |
多様なストレスにより発現が誘導される汎ストレス応答因子,すなわち,ストレスインジケーターとしてのHO-1の性質に着目し,生体内でのHO-1の発現をモニターすることで,個体におけるストレス応答を包括的に解析できるモデルマウス系を構築するため,HO-1遺伝子座に緑色蛍光タンパク質(GFP)挿入して,GFPによりHO-1の発現を容易にモニターできる遺伝子改変マウス(GFP挿入マウス)の作製を試みた。現在までに,ターゲティングベクターの構築,並びにES細胞の相同組換え体の分離,このES細胞を用いたキメラマウスの作製が完了し,B6マウスとの交配から,一部のヘテロマウスを得ている。 今後,GFP遺伝子の発現に影響を与えることが予想される,ネオマイシン耐性遺伝子発現カセットを変異遺伝子座から欠失させるため,Creトランスジェニックマウスとの交配を行う。これにより得られるGFP挿入マウスを用いることで,様々なストレス関連多因子疾患モデルマウス(動脈硬化・高血圧・神経変性疾患・早老症など)や中毒モデルマウスにおける,個体レベルでの病変の進行に伴ったストレス被負荷組織(HO-1発現組織)の網羅的解析が可能となる.平成15年度では,胎生期におけるHO-1遺伝子の発現を網羅的に解析することを手始めとして,成体における全組織をも解析することで、現在までに見落とされた組織でのHO-1の機能や病変を解明する予定である。
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