研究課題/領域番号 |
14657045
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中沼 安二 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10115256)
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研究分担者 |
原田 憲一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30283112)
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キーワード | 肝線維化 / 肝ステム細胞 / 線維芽細胞 / c-kit / α平滑筋アクチン / 肝星細胞 / 同種骨髄移植 / 造血性ステム細胞 |
研究概要 |
慢性進行性肝疾患を特徴付ける肝線維化に、門脈域や隔壁部での肝線維芽細胞が深く関連する。この肝線維芽細胞の多くは、肝実質内に生理的に存在する肝星細胞に由来すると考えられている。しかし、骨髄の造血性ステム細胞が病的肝に移動し、これがこの肝線維芽細胞の一部を構成している可能性がある。今年度の研究により、1)造血性ステム細胞を特徴付けるCD34とc-kitの両方を発現するダブルボジティブ間葉系細胞が、慢性進行性肝疾患の細胆管周囲に少数、観察され、肝線維化の程度と関連していた。正常肝にはみられなかった。これらの間葉系細胞が造血系ステム細胞に由来する可能性が示唆された。なお、肝実質内の肝星細胞にはこれらのマーカーの発現はなかった。2)これらのダブルボジティブ間葉系細胞の一部に、線維芽細胞を特徴付けるα平滑筋アクチンやビメンチンの発現が免疫組織科学的に確認され、線維芽細胞への分化が観察された。今後、異性間で施行された同種骨髄移植例や肝移植例の正常肝と慢性進行性肝疾患例の肝を用い、CD34とc-kitの両方を発現する肝門脈域内の間葉系細胞、それに肝線維化巣にみられる線維芽細胞が、ドナーの造血細胞に由来の可能性を性染色体のクロモゾームマーカーのin situ hybridization法で検討する。さらに、造血系ステム細胞が、肝線維芽細胞へと分化するのに重要な分子の特定とその発現を肝組織およびヒト病的肝由来の線維芽細胞の培養系を用い、検討する。
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