研究概要 |
慢性肝疾患では、肝小葉内、門脈域内、線維性隔壁部に線維化がみられ、肝小葉内では、活性化〓肝星細胞(筋線維芽細胞)が線維化に関連する。この肝線維化は、線維形成細胞が産生する細胞外基質成〓の過剰な沈着を特徴とするダイナミックな病態と考えられている。門脈域や線維性隔壁部での線維化〓、造血系ステム肝細胞は正常肝にも存在し、あるいは必要に応じて骨髄より肝へ動員され、肝病態の〓に関連することが最近の研究から、指摘されている。本研究では、門脈域や線維性隔壁にみられる線〓細胞が造血性ステム細胞に由来する可能性を検証する。 線維形成が活発に行われているヒト病的肝(慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝線維症、原発性〓性肝硬変、先天性肝線維症等)を用い検討した結果、原発性胆汁性肝硬変や先天性肝線維症では、〓成マーカーであるα-平滑筋アクチンの発現する紡錘形細胞が胆管周囲に主に浸潤していた。特に、先〓性肝線維症では、肝類洞内の星細胞との移行像が認められなかった。増生細胆管あるいは胆管が、こ〓線維形成細胞の増生に関連していた。 一方、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝線維症では、線維形成マーカーであるα-平滑筋アクチン〓性の線維形成細胞が、門脈域全体にみられ、その一部は造血系ステム細胞マーカー(CD34,c-kit)〓った。これらの繊維形成細胞の一部は、類洞内の星細胞との移行が、門脈域周辺部でみられた。これ〓疾患では、肝類洞の星細胞が門脈域内に遊走し、線維形成細胞となることが推定された。 なお、ヒト肝疾患より線維芽細胞を分離し、その生物学的特性を検討しているが、研究は進行中であり、今年度は有意な結果を出すことが出来なかった。引き続き、検討を行う予定である
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