研究概要 |
慢性関節リウマチ患者2症例から採取された関節滑膜に発現する細胞外マトリックス分解活性を検出するための条件決定の目的で、クマリン標識合成基質と蛍光顕微鏡を用いて至適条件を検討した。 まずクマリン特有の蛍光を蛍光顕微鏡下で視認できるまでの時間を短縮できる基質濃度、インキュベーション条件の検討を行った。 新鮮滑膜組織をO.C.T.コンパウンドに包埋し、4〜6m厚の凍結切片を無蛍光スライドガラス上に貼付した後、種々の濃度のクマリン標識合成基質を添加したトリス塩酸緩衝液(0.05 M Tris-HC1,pH7.5+0.1 M NaCl+10mM CaCl_2)で凍結切片をおおった。使用した合成基質はマトリックス・メタロプロティナーゼのクマリン標識合成基質(7-methoxycoumarin-4-yl)acetyl(MOCAc)-Arg-Pro-Lys-Pro-Tyr-Ala-Nva-Trp-Met-Lys(2,4-dinitrophenyl)(Dnp)NH_2(NFF-2)、MOCAc-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Arg-Lys(Dnp)-NH_2(NFF-3)、MOCAc-Pro-Leu-Gly-Leu-A_2pr(Dnp)-Ala-Arg-NH_2の三種類で、検討した濃度は5、10、50、100、500μMの五種類である。インキュベーション条件は室温、37℃、45℃の三条件で検討した。潜在型マトリックス・メタロプロティナーゼの活性化剤である2mM -p-aminophenylmercuric acetate(APMA)添加群も作製して検討した。 蛍光標識合成基質濃度について37℃でAPMA添加のインキュベーション条件で検討すると、500μMが、もっとも良好な結果を示した。ただしMOCAc-Pro-Leu-Gly-Leu-A_2pr(Dnp)-Ala-Arg-NH_2については蛍光標識基質が結晶化し、観察不能となった。 インキュベーション温度の検討では、室温では蛍光を観察することはできなかったが、37℃、45℃ではいずれも蛍光を観察出来た。しかし45℃でインキュベーションしても蛍光発生時間を短縮することはできなかった。
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