研究課題/領域番号 |
14657060
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 承一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (00231233)
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研究分担者 |
菅田 文彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80226414)
石垣 靖人 金沢大学, 薬学部, 助手 (20232275)
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
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キーワード | 原発性硬化性胆管炎 / PSC / 胆管細胞癌 / 潰瘍性大腸炎 / 抗好中球細胞質抗体 / KSN-bgマウス / モデル動物 |
研究概要 |
原発性硬化性胆管炎primary sclerosing cholangitis(PSC)は、肝外および肝内胆管のびまん性炎症性線維化により胆管の狭窄・閉塞をきたす原因不明の難治性疾患である。本症では高率に抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)が陽性となり、胆管細胞癌や潰瘍性大腸炎を合併する。申請者はKSN-bgマウス(KSN-nu/nu; bg/bg)がPSC様病変を自然発症することを見い出し、このモデル動物を用いてPSCの病因・病態の解明にアプローチした。KSN-bgマウスはKSNマウス(nu/nu)にC57BL/6-nu/+; bg/bgマウス由来のbeige遺伝子を導入して作成された免疫不全マウスである。前年度はKSN-bgマウスの自然歴を病理学的・皿清学的に検討した。その結果、6週齢以下のマウスの肝胆道系には全く異常を認めなかったが、6ヶ月齢以上のマウスには13匹中10匹に胆管炎を認め、その病変は胆管周囲の輪状線維化などヒトPSCに特徴的とされる所見を呈した。胆管炎を認めたマウス10匹のうち、9匹に陰窩膿瘍を伴った大腸炎を認め、4匹に胆管細胞癌を認めた。また、6ヶ月齢以上のKSN-bgマウスの85%ではP-ANCAが陽性であったが、対応抗原の同定には到らなかった。以上より、KSN-bgマウスは病理組織学的にも、血清学的にも、また、高率に潰瘍性大腸炎様の病変や胆管細胞癌を合併する点においても、ヒトPSCに極めて類似する病像を呈することが明らかとなった(投稿準備中)。この病態は親系のKSNマウスでは全く見られないことから、発症過程に遺伝的背景が重要であると思われるが、このマウスは厳密な意味でのSPFでは飼育されてこなかったため、感染などの環境因子の関与も否定できない。そのため、SPF下で飼育されたKSNマウス(nu/nu)とC57BL/6-nu/+-bg/bgマウスの交配により、SPF状態のKSN-bgマウスの作成に新たに着手した。
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