1.スギ花粉飛散量情報の自動配信システムの運用試験:スギ花粉飛散量を自動計測する装置(NTT製)を東京周辺の11カ所に設置し、リアルタイムな情飛散報をインターネットを介して、モニターの携帯iモード画面に定期的に配信するシステムを構築した。2003年2月〜4月の期間、自動計測機にて測定した空中花粉量と落下花粉を直接カウントするダーラム法による花粉測定量とを調べると、強い相関性が認められ、NTT製花粉自動測定機の有用性が確認された。花粉症の知識、関心が高いスギ花粉症患者12名を運用試験のモニターとして募集し、自動計測機によるリアルタイム花粉飛散情報を定期的にモニターの携帯電話にメール配信したところ、その都度、着信が確認された。 2.携帯電話用スギ花粉症電子日誌の運用試験:上記の12名のスギ花粉症患者モニターの携帯iモード画面上にて、目、鼻、喉、全身に関する花粉症状(良、悪、最悪を選択)を毎日、朝、昼、夕、夜の4回、入力する花粉症電子日誌ソフトを開発した。各患者モニターは入力したデータを逐次センターサーバーに送信し、時系列的にデータベース化された。 3.結果と考察:上記の2つのインターネットシステムを組み合わせ、スギ花粉飛散量と花粉症の症状との相関性を調べた。モニター12名のうち5名の患者では、1日の総花粉量とその日の症状に有意な相関が認められた。これらの結果から、リアルタイムな花粉飛散量を定期的に通報することは花粉症の対策に重要であり、特定のスギ花粉患者ではその体感症状が空中花粉飛散量に鋭敏に反映することが確かめられた。したがって、花粉症電子日誌のデータ収集システムを応用し、鋭敏な花粉症モニター患者の体感症状を収集して花粉予報をすることは有用であり、次の段階としてそのシステム構築を進めている。
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