研究概要 |
研究目的 HIV感染者の免疫細胞が抗酸菌抗原に対して反応するか否か不明である。そこで日本、中国、カンボジアの結核および非定型抗酸菌症発症HIV感染者にて抗酸菌抗原に対する抗体を測定した。 研究方法 結核菌抗原に対する抗体の測定; 中国東北部から結核患者141人、HIV感染者31人、健常者87人。カンボジアから結核発症AIDS患者20人、結核発症者5人。日本から健常者27名と結核患者20名。これらの血清中の結核菌抗原Tuberculous Glycolipidに対する抗体(抗TBGL抗体)をEIA法により測定した。 非定型抗酸菌抗原に対する抗体の測定; 日本のAIDS発症非定型抗酸菌症患者41名、非HIV感染非定型抗酸菌症23名。これらを対象としてM.bovis BCG Tokyo由来の抗原3種(PL-1,TDM-T,TMM-T)。M.avium serotypeIV由来の抗原2腫(TMM-M,GPL)を使いEIA法にて抗体検出を試みた。 研究結果 抗TBGL抗体陽性率は、中国東北部の血清では結核患者の53%。HIV感染者は10%。健常者7%。カンボジアの血清では、AIDS発症結核患者20%、結核患者20%。日本の血清では、健常者70%、結核患者33%であった。非定型抗酸菌症発症患者で、いずれか一つの抗原対し抗体価が基準値を越えれば陽性と判定した。陽性者は、非HIV感染者は95%。AIDS発症者は44%。であった。 考案 結核抗原に対しHIV感染者の10%が陽性で、健常者とほぼ同程度あり、HIV感染のみでは免疫応答に変化が無い可能性を示唆した。しかしカンボジアの血清ではAIDSの有無は陽性率関与せず、AIDS時の免疫細胞と結核抗原の関係は明らかでなかった。 AIDS発症非定型抗酸菌症患者の低反応性はCD4の低下や、HIVの免疫細胞への影響などを検討すべきと考えられた。
|