関節リウマチについて当研究室が同定した第1染色体に座位する遺伝子Death receptor 3(DR3)に対して次の研究を行った。 BLASTNによる遺伝子重複の検索:DR3遺伝子に関してNCBI、Sanger、DDBJ等のデータバンクを用いて行った遺伝子重複の検索において、重複の事実は認められなかった。FISH(fluorescence in situ hybridization)法を用いたマッピング:DR3遺伝子を含むクローンと近傍にあるクローンを用いてmappingを行ったところ、DR3遺伝子にのみ遺伝子重複が観察された。この遺伝子重複を確認したところ、RA患者においては特に遺伝子変異のみられたRA患者に遺伝子重複が多く認められた。 Fiber-FISH法を用いたマッピング:Fiber-FISH法によるマッピングにより、FISH法で示されたDR3遺伝子の遺伝子重複がセントロメア側の約200-300kbの位置にあることが示された。定量PCR法による遺伝子重複とSNPsの関係:SNPsに特異的なプライマーを用いて遺伝子重複とSNPsの関係を調べた。変異率の計算より、SNPsにおける遺伝子重複の確認ができた。 ゲノムインプリンティングの可能性について:DR3遺伝子のプロモーター領域のメチル化の有無を確認した。プロモーター領域の一部ではアレル特異的なメチル化が認められた。また、RA患者における滑膜細胞では、末梢血リンパ球には認められなかったプロモーター領域のメチル化が起こっていた。 学会発表:本研究の内容は第25回及び第26回日本分子生物学会年会にて発表した。 今後の展望:遺伝子重複に関しては論文投稿中であり、ゲノムインプリンティングについてはさらなる症例での確認、および転写開始点等の検索を行っている。
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