研究課題/領域番号 |
14657167
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩二 京都大学, 医学研究科, 助手 (50283594)
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研究分担者 |
平家 俊男 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90190173)
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キーワード | p300 / GATA-4 / transcription / acetylation / cardiac myocyte / regeneration / differentiation / ES cells |
研究概要 |
ES細胞は無限の増殖能と多分化能を有していることから、末期重症心不全の心筋再生治療に対する細胞移植のソースとして有望であるが、ES細胞から心筋細胞への分化効率には限界がある。ヒストンアセチル化酵素(HAT)とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はヒストンのアセチル化を調節しクロマチンに構造変化をもたらすことで転写因子とDNAが結合できる環境を調節する。さらに転写因子自体のアセチル化にも関与しそのDNA結合能を調節し、その結果、細胞特異的遺伝子発現や細胞の分化、増殖に重要な影響を与える。我々はこれまでHATの一つであるp300が転写因子GATA-4と相互作用してこれをアセチル化することが心臓特異的遺伝子発現に重要であることを報告してきた。そこで、HDAC阻害薬であるTrichostatin A(TSA)を用いてヒストンやGATA-4のアセチル化を亢進させることが可能か、また、もし可能ならそれにより未分化ES細胞から心筋細胞への分化効率が亢進するかを、マウスES細胞株を用いて検討した。胚様体形成後6日目にTSAで刺激するとヒストンテールおよびGATA-4がアセチル化されGATA-4のDNA結合能が亢進していること、さらに心房性利尿ペプチドプロモーター内のGATA結合部近傍のヒストンがアセチル化されていることが確認された。次にNkx2.5遺伝子座にGFPをノックインしたマウスES細胞株において胚様体形成後6日目にTSAで刺激するとGFP陽性細胞が生理食塩水で刺激したときに比べ有意に増加していることが判明し、β-ミオシン重鎖陽性細胞もTSA刺激で増加することが免疫染色により確認された。以上より、ヒストンおよびGATA-4のアセチル化がES細胞で心筋細胞分化効率の上昇に重要であることが示された。
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