研究概要 |
1)特徴的な顔貌で、2)MRSAによる皮膚膿瘍、骨髄炎、pneumatocele等繰り返す感染巣が存在し、3)血清IgE値が1万-10万IU/mlという条件で3名の該当患者を見出した。臨床的にはST合剤、あるいは予防的抗生物質投与が奏功し、感染症は概ねコントロールされている。IgE値は3.5万-10万IU/mlとかなりの高値を示した。フローサイトメーターによるリンパ球サブセットの解析では、CD3(+)70-80%, CD4(+)+CD8(+)69-82%, CD19(+)9.7-22.0%, CD16/CD56(+)2.2-4.5%であり、特にダブルネガティブT細胞が目立つ所見は得られなかった。今後CD3(+)CD4(-)CD8(-)あるいはCD3(+)CD4(+)CD8(-)のNKT細胞ポピュレーションの存在について、TCRα/TCRβ/CD1d等に特異的な抗体を使用してより詳しく解析をしていく。 次にCCR1, CCR2, CCR3, CCR4, CCR6, CXCR1, CXCR2, CXCR3, CXCR4, CXCR5と計10種類のケモカインレセプターの発現について、フローサイトメーターを用いて検索した。興味深いことに3症例共にCD8陽性細胞におけるCCR2の発現、CD4およびCD8陽性細胞におけるCCR6の発現が正常対象に比較し強く抑制されていた。また、2例においてはCD4陽性細胞におけるCXCR4の発現が強く抑制されていた。正常対象と比較し発現の増強をみたケモカインレセプターは存在しなかった。CCR6ノックアウトマウスではジニトロフルオロベンゼンに対する遅延型過敏反応が増強されていることが知られている。今後リンパ球ケモタキシスの実験系を整備し、更に詳しくこれらケモカインレセプター発現減少と高IgE血症の関連について検索を行う予定である。
|