研究概要 |
平成14年度は以下のように共同研究を進めた. 1)変異GFP発現細胞,マウスの作製(原・續) ナンセンス変異を有する変異GFP発現プラスミドをHeLa細胞に導入し,緑色蛍光を発しないことをフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡で確認した.これらのプラスミドをHeLa, HT1080,およびMCF-7細胞に導入し,非蛍光性変異GFPを構成的に発現する細胞株を樹立した.また個体レベルでの遺伝子治療のモデル系を確立するために,上記変異GFPの発現ベクターをマウス受精卵に導入し,現在トランスジェニック・マウス樹立の準備段階にある. 2)種々のオリゴヌクレオチドの合成(佐々木) 3本鎖形成オリゴヌクレオチドに反応性核酸を組み込み,標的配列との架橋反応を行うと同時に架橋部分での変異誘起能について調べた.その結果,反応性核酸は反応点特異的に点変異を誘起し,とくにアデノシンとの反応点では細胞内での複製にともない,グアノシンに変異させることを明らかにした. 3)オリゴヌクレオチドを用いた変異GFPの修復と発現(原・續・井原) 4)フローサイトメトリーによる蛍光細胞の検出(原・續・井原) 1)で樹立した細胞に45-merの非修飾オリゴヌクレオチドを導入したが,GFP蛍光の復帰は観察されなかった(1/10^6以下の復帰変異の頻度).FITCでラベルした15-merオリゴヌクレオチドの細胞へのとりこみ効率をフローサイトメトリーおよび共焦点顕微鏡で観察すると50%以上であったが,大部分は核外にとどまっていた.現在,核酸-ペプチド複合体による核内移行と修復効率の活性化を目指し,条件を検討中である.
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