研究課題/領域番号 |
14657189
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
富川 盛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30277058)
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研究分担者 |
古幡 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70056985)
勝沼 俊雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10194789)
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キーワード | 気管支喘息 / 気道慢性炎症 / 呼気中LTE_4 / 呼気凍結チャンバー / 非侵襲的気道炎症測定法 |
研究概要 |
研究背景:気管支喘息の基本病態として気道の慢性炎症が重要であることには変わりないが、小児では成人に比べ気管支肺胞洗浄や生検などの侵襲的検査は困難であるため、小児における気道局所病態の知見は非常に少ない。 研究目的:気管支喘息患児の気道炎症マーカーを、非侵襲的に検出することを前提に、呼気を過冷却・濃縮して固体(氷)として収集するシステムの開発と、氷中のマーカーを測定する技術の開発を目的とした。研究方法:呼気凍結チャンバーの開発:ドライアイス槽に金属製の呼気収集チャンバーをいれて、チャンバー内温度を-70℃以下に過冷却することにより呼気の収集が可能となった。呼気の収集量を増加させるため、管の改良を行った。呼気の回収・検体測定:この呼気凍結チャンバーを使用して呼気の回収を行い、気道炎症のマーカーの一つであるleukotriene E_4(以下LTE_4と略)を市販のKitを用いて測定した。 研究結果:15分間の呼吸時間で回収した凍結呼気を溶解し約1〜3mlの検体を採取できた。装置の改良後は20分間の呼吸時間で2〜6ml採取できた。 検査の協力を得られた患児50人(軽症〜重症)中、LTE_4を検出できたケースは10人で、その濃度は16.074〜41.166pg/15minであった。10人はいずれも軽症喘息であり、同時に測定した呼吸機能検査や気道過敏性検査からも軽症と判断される症例であった。 研究考案:この研究において、呼気中のLTE_4が測定できた。更にチャンバーの改良により一層感度を高めることができた。LTE_4が気管支喘息の気道炎症に関わっており、特に軽症例での病態関与が示唆された。このことは軽症喘息における抗ロイコトリエン拮抗薬の有効性にも関連するかもしれないと考えられた。今後他の炎症性メディエイターの測定にも試み、非侵襲性でかつ高精度の気道炎症測定方法を確立したい。
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