研究概要 |
1)C3Hマウスに中波長紫外線(UVB)照射し、ハプテン感作を行うことによりトレランスを誘導した(この実験系が以後のin vivo研究のベースとなる)。 2)抗原提示細胞(樹状細胞;dendritic cells, DC)に選択的に発現するdectin-2の蛋白を大腸菌に発現させ、回収したリコンビナント可溶性dectin-2(細胞外ドメインのみを持ち、膜貫通領域や細胞質内領域は含まない;soluble dectin-2、以下sDec2)を作成した。この蛋白はT細胞上のdectin-2リガンド(Dec-2L;現在のところ未同定)に結合し、内因性のdectin-2と競合的阻害作用を持つと考えられる。 3)1)で示したようにUVBにより接触過敏反応(CHS)のトレランス起こしたマウスよりTリンパ球を回収し、3次元FACS解析を行うことによりsDec2結合細胞の性状を検討した。sDec2結合細胞はUVBによりトレランスが成立したマウスにおいてのみ有意に誘導され、抗原投与を受けないナイーブマウスやUVB照射無しに抗原投与のみを受けた感作マウスにおいては有意な誘導は認めなかった。また、sDec2結合細胞はCD4陽性CD25陽性であり、この表現系は近年注目を浴びている免疫調節型T細胞と相同性を持つことが明らかになった。 4)3)で示したsDec2結合T細胞を分離し、in vitroで骨髄由来抗原提示細胞(bone marrow-derived dendritic cells ; BMDC)と水溶性抗原であるDNBSの存在下で72時間培養し、sDec2結合T細胞のサイトカイン産生パターンを検討した。その結果、sDec2結合T細胞はIL-4、IL-10、TGF-・1を有意に産生した一方、IFN-・の産生の誘導はほぼ認めなかった。この結果はUVB照射によりCHSのトレランスが成立したマウスにおいて誘導されるsDec2結合T細胞はTh3細胞に分類されることが推察された。
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