【平成15年度実績】 昨年度に引き続き、中枢ヒスタミン神経系の動態を明らかにするため、H1受容体の放射性リガンドである[11C]ドキセピンを用いPET検査を行った。対象は昨年度と合わせて、健常者女性10人(20-27歳)、神経性食思不振症患者7人(22-27歳)である。被検者には全例インフォームドコンセントを事前に得、さらにドキセピン投与量は約2.8-3.5mCiと当初の予定投与量より少ない量で行い被検者への影響を最小限にして実施した。全例安全に問題なく検査を終えている。男性例は先行研究の正常群を用いることとし、平成16年度においてさらに患者群の症例数を増やし、精度を高めていく予定である。また被検者には心理テスト(性格傾向、抑うつ、不安、検査時の気分、自己効力感などを評価する自己記入式質問紙を用いる)と採血(レプチン、コルチゾール等の測定)、Brain MRIを合わせて行った。さらに、得られたPETデータをMRI画像とあわせ、コンピューター解析を行った。検討項目としては、先行研究である健常およびうつ病の男性例を対象とした研究との比較にて、中枢ヒスタミン神経系の性差、疾患における動態を明らかにしていくこと、また心理テストにより評価した心理傾向と中枢ヒスタミン神経系の関連や、レプチン等の摂食調整因子との関連を明らかにしていくことであり、現時点の解析では、男性健常者に比し女性健常者で受容体結合能が亢進している領域と、女性健常者に比し患者群で亢進している領域が確認されている。平成16年度には、さらに解析を進め、その役割を明らかにする。
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