研究課題/領域番号 |
14657227
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00292699)
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研究分担者 |
村松 喬 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00030891)
伊豫 雅臣 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50191903)
橋本 謙二 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10189483)
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キーワード | ミッドカイン / 統合失調症 / 海馬 |
研究概要 |
本研究は、精神機能に果たすミッドカインの役割を解明することを目的として、統合失調症(精神分裂病)の患者血清におけるミッドカイン濃度と精神症状との関連性を調べたところ、過去に行われた多数の健康対照群では全くみられないような0.8ng/mLを超える異常高値を示したケースが、15例の未治療の患者中の4例(26.7%)に、25例の抗精神病薬の治療を受けている患者中の2例(8.0%)に見られたが、今回の健康対照群38例全例で全く見られなず、有意差が見られた。また、異常高値を示さない未治療患者群の平均ミッドカイン・レベルは、健康対照群のそれより、有意に低下していた。さらに、36例のアルツハイマー病の患者血清においても、47%の症例でミッドカインの異常高値が示された。また、発達期に海馬障害を示すミッドカイン・ノックアウトマウスの8-10週齢の成体での海馬神経発生をBrdU免疫染色によって検討したところ、野生型に比べて低下していることが明らかとなった。現在、メタアンフェタミン投与によって惹起される異常行動が、ミッドカイン・ノックアウトマウスにおいて野生型より少ない傾向が示されつつあり、さらなる症例数の増加を進めている。以上の結果から、ミッドカインが成体での海馬神経発生に必要であり、動物モデルでのメタアンフェタミンの異常行動発現および統合失調症、アルツハイマー病の患者の症状発現にも一定の役割を果たしている可能性が強く示唆され、今後、ミッドカインが高次精神機能に果たす役割をさらに続けて検討していく予定である。
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